2005年04月03日

ロキノンと2chと堀江氏と

…と、またゴチャゴチャしそうな題材を持ち出したものだ。恐らく支離滅裂になるだろうから最初に謝っておきましょう。

ライブドア堀江氏のメディア論を知ったとき、実はオレは「これって Rockin'On(ロキノン/ロッキング・オン)なのかもしれないな」とぼんやり考えていたのだ。ロック音楽を70年代から聴いていた人なら分かると思うが、ロキノンや渋谷陽一氏の登場というのは当時の洋楽界においてはなかなか衝撃的だった。偉そうな御託ばかり並べる音楽評論家業界(?)に、いきなり学生みたいなあんちゃんが登場し洋楽評論界をかき回し始めたのだ。
渋谷陽一氏のロック評論は、評論というよりはただの感想だった。洋楽評論には欠かせないデータ的な情報も専門的音楽分析もほとんどなかった。また彼自身、日頃「ジミーペイジは神」と公言していることからも分かるとおり、まったく公平さにも欠けていた。
しかし彼の評論は、他のどんな評論よりも共感できたのだ。「なるほどな、わかるわかる」という具合に。もちろん時には「違うよ。こいつはわかってねえな」と思うこともあった。しかしそれも今思うと広い意味での共感だったね。
ロキノンには渋谷氏だけでなく、ほかの様々な読者やリスナーの評論(感想)が掲載されていた。もちろんそれらは編集者によって取捨選択されて掲載されてはいたが、基本的には何でもありという印象だった。ロックというものを自分自身の言葉で好きに語っても良いんだ、とオレは目から鱗が落ちる気分だった。

当時のオレは自分が天才だと思っていた大ばか者だった、と以前書いた。この感情は、こと音楽に対して顕著で、特に洋楽のレコードに付属する日本語ライナーの類をオレはバカにしていた。しかしロキノン関係者や渋谷氏の評論の登場は、そんなオレの感情を刺激した。「こいつらはなかなかやるな…」と(当時)思わせたのだ。前述したように彼等の評論はデータ的にも音楽的にも十分ではなかった。ではどこが優れていたのかというと、リアルな鋭さじゃないかな、と今思う。鋭い人間が直感でリアルな個人的感想を語る。それが共感を呼んだのだろうなと。同時に、天才である筈の自分の考えは実は全然特別ではない、という現実も知ったのだ。
ご存知のとおりロキノンは、70年代ロックと運命を共にし滅亡して行った他の雑誌とは異なり、80年代も90年代も逞しく生き残った。その方法論はロック初心者に対して有効であり続けた、ということだろう。

月日は経ち20世紀最後の年。ロキノン時代に一度現実を知ったはずのオレであったが、経年加齢というのは残酷なものだな。すっかり「自分は大天才であると誤認識した大バカ」に戻っていたのだ。そんな時オレは2chという掲示板を知る。
そこで展開されている、どこの誰だか判らない無数の名無しどもの「鋭い感想」にオレはあっけに取られたのだ。一般人であるはずの奴らの、鋭さ洞察力は半端じゃなかった。しかもちゃんとデータ、音楽的分析も伴い、各アーティストスレッド等は無敵の評論と化していた。これもある意味、リアルタイムで進行していた「情報のオープンソース化」だったんだろうと思う。
この出来事で「生半可な情報では太刀打ちできない、半端な人間はプロとは言えない」と心底危機感を感じた。そうして、自分自身を見直しもう一度ゼロから再出発しよう、とオレは心掛けを新たにできたのだ。

さてライブドア(笑)。あいかわらず堀江氏のメディア論は理解されず、PJのヘタレ具合に失笑すら起きている昨今だが、笑ってる場合じゃないよ。今笑っているその相手はかつての自分の姿と言えるだろう。ライブドアを笑う人々(自分含む)は、かつての痛い自分の姿がダブリ、静観できないから笑うしかないのかもしれない。気をつけたい。

「渋谷陽一 vs 中村とうよう 誌上バトル」を今懐かしく思い出す。
この記事へのコメント
音楽評論家w
Posted by 堀井 at 2005年04月18日 00:05
おー
素晴らしい
Posted by marcomusi at 2005年04月18日 09:46
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