2004年12月06日

ビートルズ I Feel Fine の Drums は影武者のプレイなのか?という考察

第2弾。

これもネット上でしばしば見かける意見だ。具体的には、この曲を含めて数曲がバーナードパーディ氏によるプレイなのではないか、と噂されている。以前のオレはこの手の話題は一笑に付してきた。リンゴスターは左利きなせいでオカズに幾分クセがあるものの、それを除くとじゅうぶんテクニック的にも上手いドラマーである。特に初期から中期にかけてのビートルズのドライブ感やグルーヴは、彼がいなければ絶対に生まれなかったものだろう。特に8ビートでの疾走感はリンゴスターの独壇場だ。ポールマッカートニーもリンゴスターがドラマーでなければ、あそこまで上達しなかったのではと思われるほどだ。実際はポール自身もかなりのリズム感の持ち主なので、リンゴ〜ポールの相乗作用が大きかったと思われるが、いずれにせよ両者はビートルズにとって不可欠である。
というわけで、リンゴスターでじゅうぶんなのに何故影武者を使う必要があるのか?その根拠がないというのがオレの考えだった。
影武者説については、別のことが発端ではないかと思われる出来事がある。それはジョンレノンのローリングストーン誌インタビューだ。これは本として出版されているので今でも読むことが可能だが、ここでジョンレノンはホワイトアルバムレコーディング時のメンバー間の軋轢に付いて触れ、あの時点からグループの崩壊が始まったこと、バラバラでまとまりがなく個人個人で好きなことを始めたこと、レコーディングもグループのものというよりはソロ作品の寄せ集めだったこと、その結果グループというよりは各メンバーのバックバンド的な気分で演奏したことなど、赤裸々に語っている。この最後の「メンバーそれぞれのバックバンド」の部分だが、ここは是非実際に本を読んで欲しい。原文がジョン特有のレトリックで難しいのか片岡氏の訳が微妙なのか判断しがたいところだが、読みようによっては「ホワイトアルバムのレコーディングはメンバーそれぞれがバックバンドとともに行った」と読めないこともない。
ビートルズ現役当時、その人気ゆえビートルズに関する陰口は後を絶たず、日々ゴシップネタで盛り上がっていた。ほとんどはスポーツ紙レベルのデマだが、彼等の特異なキャラもあり、半分バカにしたような感じで取り上げられていたようだ。ビートルズは実際には楽器を何もプレイできない、とか平気で言われていたりもした。実際に楽器をプレイする人間なら、そんなことはありえないとすぐにわかるが、She Loves Youの項でも書いたとおりビートルズのマニアは音楽を聴かない人が多く、100%信じないまでも「本当かもしれない」などと疑うことはあったようで、そういったデマが居酒屋レベルのネタに繋がってくる。
そのようなゴシップが深層心理的な部分に染み付いている人が、無意識な先入観で先のジョンレノンのインタビューを読むとどうなるか。ホワイトアルバムのくだりも勝手に「メンバーそれぞれが勝手にバックバンドとともにレコーディングした」と読み替えてしまうのである。
これはオレの空想ではないのだ。このインタビューの後、かなり多くの評論や音楽雑誌等で、実際にそのような記述が見られたのだ。こうして70年代以降、影武者説は真実味を帯びていった。
こうした状況のなか、確か80年代の終わり頃ではないかと思うが、某音楽雑誌によるリンゴスターへのインタビューが行われた。そこでインタビュアーは勇敢にも、リンゴ本人に対して「ホワイトアルバムではメンバーはプレイしていないといわれていますが、実際はどうですか」と質問した。もちろんリンゴの答えはNO。「メンバー全員でプレイした(クラプトン等いくつかの楽器を除く)」と。それ以外の部分でもこのインタビューはかなり画期的なものだった。当時リアルでその雑誌を読んだオレは感動したね。これで状況も変わるだろう、とホッと胸をなでおろしたもんだ。
しかし状況は変わらなかった!よほど負の情報が好きなのか、そう思い込みたいのか、他に語るべきものがないのか、ともかく世の中はあいかわらずなのだ。

前の記事でアップルやEMIが大本営発表で落とし前をつけろ、みたいに書いたが、その後よく考えてみると、いちばん曖昧なのは他ならぬ彼等だった。彼等はいまだに宣伝のため平気で嘘をついている。今は21世紀だというのにアップルやEMIは、実に稚拙でバレバレな嘘をつく。Let It Be...Naked の宣伝文でも明らかだよね。電気的にスペクターのオーケストラを除去???ハァ???あきれてものが言えない。そのちょっと前には、有名なナグラテープ(ゲットバックセッションの記録テープ)の話もあった。あれもただの記録テープなのだが、大本営やメディアは「あれを盗賊団から取り戻したので Let It Beをやり直せる」などと吹聴していた。今は70年代ではないのだ。リミックスが常識な昨今、マルチトラックレコーディングの仕組みなど、今や中学生でもなんとなく知っているだろう。そんな時代にあって、アップルの宣伝方法は祭りの出店レベルである。本当に情けない。
だがこの話は笑えないのだ。リミックスやDJによるプレイをごく普通に聴いている中学生にはネタでも、70年代の知識のままのオヤジどもは、そんなアップルの出店レベルな宣伝文にあっさりと騙されてしまうのだ。おそらくアップルのターゲットもそこにあるんだろうね。オヤジ金持ちだし。アップルはビートルズをネタにして援交してるんである。やれやれ。

この話はまた続きます。
marcomusi at 08:41 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | メディア〜音楽関連
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